校務支援システムで、できること。
働き方を支援する機能をわかりやすく!
校務支援システムとは、学籍管理や成績管理など教員の校務を効率化するツールです。情報をまとめて共有したり、管理したりすることで、校務にかける時間を短縮できます。
校務に多くの時間を費やす教員の負担を軽減するため、文部科学省では全国の学校に校務支援システムの導入を推進しています。しかし文科省の調査によると、統合型校務支援システムは70%、校務支援システムは80%以上の高い導入率でありながら、実際にシステムを活用している学校は50%を切るという残念な結果も出ています。
この記事では校務支援システムをすでに導入している、もしくは導入を検討している学校関係者に向けて、働き方を変えるための機能をご紹介します。
校務支援システムとは?【わかりやすく解説】
校務の負担を減らし、教師の働き方を支援するためのシステムには、校務支援システムと統合型校務支援システムがあります。
最初に、両者の違いをご紹介しましょう。
校務支援システムは何かできる?
校務支援システムとは、文字通り、学校内の事務作業である校務を時短するためのシステムです。「校務」と、ひとくちにいっても、生徒の情報管理、教員間での情報共有、学校運営に関わる情報管理など、多岐にわたります。校務支援システムでは、学校の事務作業に関連する情報をデジタル化して管理します。
校務支援システムを活用することで、過去の学習記録を参照して成績表を効率よく作成したり、グループウェアで教職員間の情報を共有したりすることができるようになります。
統合型校務支援システムとの違いは?
校務支援システムのほかに、「統合型校務支援システム」というツールもあります。
校務支援システムは学校事務を管理する目的で教職員が利用するツールであり、成績管理や保健管理など、個々にソフトウェアが存在します。
対して、統合型校務支援システムは、学籍管理や成績管理、保健管理など複数の機能を統合し、各機能を連携してデータを一元管理できます。
たとえば生徒の苗字を変更する場合、校務支援システムでは、登録されている管理画面ごとにデータを変更していく必要があります。一方、一元管理ができる統合型校務支援システムでは、学籍管理で1回データを変更すれば、成績管理や保健管理など、ほかの管理画面にも変更が反映されます。
校務支援システムの導入率は?
校務支援システムの導入率については、2021年に文部科学省が調査したデータがあります。 ここでは校務支援システムと統合型校務支援システムの導入率や、システムを導入していない理由について解説します。
校務支援システム、統合型校務支援システムの導入率と運用率
2021年5月、全国の公立学校を対象にした文部科学省の調査「GIGAスクール構想に関する各種調査の結果」によると、校務支援システムの導入率は80.4%、統合型校務支援システムは68.9%という結果が出ています。
ところが、校務支援システムをインターネットに接続している学校は48.7%と低く、さらに校務系と学習系のデータ連携が行われているケースはわずか4.2%という結果が出ています。
校務支援システムそのものは導入されていても、実際には活用されていないという、残念な実情が明らかになっています。
校務支援システム導入をしない理由とは?
「校務支援システム・統合型校務支援システムの導入予定がない」と回答した公立学校もあります。 システムを導入しない主な理由は次のとおりです。
- 小規模で導入効果が低い
- 予算の確保が難しい
- 現行のままでも不都合がない
- 検討の優先度が低い
- ニーズはあるものの検討が進んでいない
- 都道府県で整備してほしい
- 運用面の不安がある
GIGAスクール構想に関する各種調査の結果(文科省:PDF)
校務支援システム、4つの機能
校務支援システムの便利な機能「学籍管理・成績処理」「名簿情報・出欠席情報の管理」「調査書・指導要録の作成」「教員間・学校間のコミュニケーションツール」についてご紹介しましょう。
機能①:学籍管理・成績処理
校務支援システムには、学籍管理や、通知表作成を含めた成績処理機能があります。
学籍管理とは、生徒の氏名・住所といった基本情報と学年履歴や部活動履歴などの学籍情報をデジタル化することを指します。学籍情報がデジタル化されることで、通知表や指導要録など、ほかの指標と連動させることができるようになります。
成績処理では、教科ごとにテスト結果を入力すると、観点別評価や評定評価が自動で算出されます。また、成績処理で算出した評価を通知表に出力することもできます。
この機能を活用することで、これまで自宅に持ち帰っていたテストの集計作業の時間が、圧倒的に削減されることでしょう。
機能②:名簿情報・出欠席情報の管理
校務支援システムでは、生徒の基本情報や保護者情報などの名簿情報に紐づけて、出欠席情報も管理できます。
最初に名簿を作成すれば、ほかの書類に転記する時間と労力が削減できます。
出欠席情報の管理では、統計処理を自動化して分析ができます。たとえば、出欠の状況から不登校の可能性がある生徒を把握して、いち早く対策を講じることも可能です。
機能③:調査書・指導要録の作成
校務支援システムでは、調査書や指導要録も作成もできます。
学習者情報記録機能を使うことで、生徒の日々の様子など気づいた点を記録した情報をほかの教員と共有することができます。必要に応じて、学習記録だけでなく、生活情報やアレルギー情報などの登録もできます。
ひとりの生徒に対して、学級担任や教科担任に限らず、複数の教職員の視点による所見を一元的にまとめることが可能で、その記録を調査書や生活指導に活かすこともできます。
機能④:教員間・学校間のコミュニケーションツール
校務支援システムは、教員間・学校間のコミュニケーションツールとしての役割も果たします。
グループウェア機能により教職員間で情報を共有し、教職員からの各種申請・報告や教育委員会から各学校や教職員に文書配布・アンケート依頼なども可能です。
職員朝礼や会議・打ち合わせなどの回数を減らして報告業務の効率化を図り、本来の業務を行う時間を確保できます。
校務支援システム、3つのメリット
全校務支援システムを活用する大きなメリットは、これまで手動で行ってきた作業や、転記などの単純作業を減らして、校務を効率化することにあります。
ここから、校務支援システムを導入する3つのメリットをご紹介します。
メリット①:繰り返し単純作業を削減できる
一般的な統合型校務支援システムにはデータを引用できる仕組みがあり、一度入力したデータを複数の機能・帳票に連携させることができます。
繰り返しの単純作業である転記作業や転記ミスを防げるだけでなく、学校事務をデータ化してコスト削減を図ることも可能です。 たとえば、資料配布のために行っていた印刷やホチキス止め、配布といった作業がなくなり、手間や時間、コストの削減ができます。
メリット②:学校事務をデジタル化できる
校務支援システムでは、出欠管理や成績処理などの教務関連事務や、生徒の基本情報を管理する学籍関連事務をデータ管理できるのもメリットです。
これまでは属人的で可視化されていなかった教職員のノートも、貴重なナレッジとして校務支援システムに蓄積することができます。
共有された情報が生徒の指導に活かされたり、管理職が学校経営に活かしたりするなど、さまざまな展開が期待できます。
メリット③:生徒の情報を教員全員で共有できる
校務支援システムでは、生徒一人ひとりの個人情報や出欠席、健康診断結果などをデータ化することができます。
教員は各生徒の学習状況をデータで確認でき、その情報を教員全員で共有することができます。
これによって、生徒の変化に早い段階で気づくなど、学習指導の充実を図ることができるでしょう。
代表的な校務支援システム
校務支援システムは各社から提供されており、シンプルな構成から、オプションが充実しているものまで、学校のニーズに合わせて選ぶことができます。ここでは、代表的な校務支援システムを3つ紹介します。
ミライム
教員との共同開発で誕生したグループウェアです。教員が使いたい最小限の機能に絞り、パソコン初心者でも敷居が低く使いやすい工夫が凝らされています。
ソフトウェアのインストールは必要なく、パソコンのブラウザから直接アクセスできる仕組みです。
名前をタップするだけで出勤の打刻ができ、体温の記録も可能なタイムカード機能や、会議や打ち合わせを省略できる掲示板など、業務の効率化に役立つ機能を備えています。
スズキ教育ソフト
校務支援システムを開発して約30年という、校務支援システムにおける老舗企業が提供しています。
学校独自の記載項目や教員の想いを反映したコーナーを加えるなど、オリジナルのレイアウトを作れるのが特徴です。
膨大なデータを快適に処理できる優れた処理能力と操作性があり、サポートも充実しています。
EDUCOMマネージャーC4th
2022年4月現在で全国の約60以上の地域、9100校以上の学校で活用されているシステムです。情報を一元管理することで校務の効率化を実現するとともに、学校事務以外の情報も連携させることができます。一人ひとりの生徒に紐づく情報を「見える化」するというのがポイントです。
運用に際しては教員に寄り添ったヘルプデスクサポートを設置しており、研修会の企画や効果測定支援など、充実したサポートを提供しています。
まとめ
- 校務支援システムと統合型校務支援システムの違いは?:
統合型校務支援システムのほうがデータを一元管理ができる。 - 校務支援システムの導入率は?:
- 校務支援システムの導入率は80.4%、統合型校務支援システムは68.9%。
- ところが、校務支援システムを運用している学校は48.7%。
- 校務支援システムを導入しても、活用していない実態が明らかに。
- 校務支援システムを導入する3つのメリット:
- メリット① 繰り返し単純作業を削減できる
- メリット② 学校事務をデジタル化できる
- メリット③ 生徒の情報を教員全員で共有できる
以上、校務支援システムの機能や導入することのメリットについてご紹介しました。
もし校務支援システムの操作に不安がある場合は、システムの提供企業やICT支援員に相談するのが解決の早道です。ただし、ICT支援員は慢性的な人手不足に加えて、複数の学校を巡回するため、校内に常時待機しているわけではありません。
ICT支援員不在時に気軽に問い合わせできるところから、ICT支援員に加えてヘルプデスクを併用する学校も少なくありません。
ヘルプデスクは、対面ではなく、メールや電話が基本となりますが、多岐にわたるICT業務について気軽に問い合わせできるのがメリットです。研修をするほどではないが、ICTの素朴な疑問に応えます。
KDCのヘルプデスクには、ICT支援員やシステムエンジニアなどICTのプロフェッショナルが常勤しており、端末のトラブル対応からアプリの基本操作まで幅広く支援します。
たとえば、
- ログインできない
- 電源がつかない
- アプリの操作がわからない
という、ちょっとしたお困りごとから、
- 全校生徒分のアプリをインストールしたい
- OSの最新バージョンを全校一斉にアップデートしたい
- 起動しないアプリを点検して、再インストールしたい
など、教育の現場で大量に発生する業務にも対応しています。
KDCは「電話がつながるヘルプデスク」として、電話応答率が90%以上、簡単なお問い合わせであれば数分で解決へ導いてきた実績があります。
メールからのお問い合わせにも、受付時間内であれば、平均1時間以内というスピード感で応答します。
ICTのお困りごとは、ぜひ、KDCのヘルプデスクにご相談ください。
参照元:
- 文部科学省:校務支援システム 導入・運用の手引き(文科省:PDF)
- GIGAスクール構想に関する各種調査の結果(文科省:PDF)
- 校務支援システムの導入を考える(ハイパープレイン:教育情報化ブログ)
- 文部科学省も導入を推進。校務支援システムでできることとは?(ウチダエスコ:Webページ)