2022.07.22 (金)

教育タブレット導入で教室はどう変わった?
おすすめアプリも紹介。

教育の現場にタブレットが導入されたことで、小・中学校の教室はどのように変わったのでしょうか?
全国の小・中学校への教育を目的にしたタブレットの導入は、2021年の時点でほぼ配備が完了しました。教育用タブレットが教室に導入されたことで、双方向の授業や個別学習が可能となり、GIGAスクール構想の目指すICT教育の実現が始まっています。
この記事では、教育用タブレットの導入率、導入後の教室の変化とともに、ICT教育に役立つ対応アプリについてもご紹介します。

教育用タブレットの導入率は?

教室とタブレットイメージ

ここでは、教育用タブレットの導入について、小・中学校の状況を紹介します。

小・中学校へのICT端末の導入状況

教育タブレットの導入率を、文部科学省の発表データ「GIGAスクール構想に関する各種調査の結果」から引用しましょう。この調査によると、2021年7月時点で、全国の公立の小学校等で96.1%、中学校等では96.5%が「全学年」または「一部の学年」で端末を導入し、活用を開始していることが分かります。

導入を開始していない小・中学校の多くも、2021年12月までには開始すると回答しており、2022年現在では、ほぼ100%、教育用タブレットの導入が完了したことがうかがえます。

参照元:文部科学省「GIGAスクール構想に関する各種調査の結果について」(文科省:PDF)

小・中学校ICT端末のOSの割合

教育タブレットの利用状況は、どうでしょうか?
同じく文部科学省の発表データ「GIGAスクール構想に関する各種調査の結果」によると、整備済みの端末におけるOSの割合は、Chrome OSが40.1%、Windowsが30.4%、iOSが29.0%となっています。OSの内訳では、Chromeがひとつ頭を抜けており、WindowsとiOSがほぼ同じ割合で導入されていることがわかります。

OS別、タブレット名、メーカー名まとめ

教育の現場で使うタブレットがどのOSを採用しているかは、学校や自治体がどのメーカーのタブレットを導入したかによって変わります。 参考までに、OSとタブレット名、メーカー名をまとめると、次のようになります。

  • Chrome OS = Chromebook(Google社)
  • Windows OS = Surface(Microsoft社)など
  • iOS=ipad(Apple社)など

ただしOSの違いによって、アップデートのサイクル、対応アプリ、セキュリティの設定などが大きく異なりますので、その点については事前に認識しておくことは必要です。

教育用タブレットを導入して、教室はどう変わった?

教育用タブレットが、全国の小中学校にほぼ100%の割合で導入された2022年現在、改めて、教育用タブレット導入後の教室の変化についてまとめました。

タブレット活用で、GIGAスクール構想「誰ひとり取り残さない教育」が可能に。

教育用タブレット導入による教室の変化、その1番目は「個別最適な学び」が可能になったことです。

文科省が掲げるGIGAスクール構想のひとつに、タブレット教育による「個別最適な学び」という目標があります。この「個別最適な学び」という言葉は「多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学び」というフレーズの一節です。

つまり、生徒の多様性を認めるとともに「誰ひとり取り残さない」教育が実現するのです。

タブレット活用で、双方向の授業が可能に。

教育用タブレット導入による教室の変化、2番目は、「双方向の授業」が可能になったことです。
たとえば学習の進み具合を把握したり生徒の声に耳を傾けたりするのに、これまでの教師から生徒へ一方通行で行う授業のスタイルでは、多少の手間や時間差が生じがちでした。教師1人が教室の生徒一人ひとりと対峙するには、物理的な制約があったのです。

しかし生徒1人に1台の教育タブレットを導入後は、教員と生徒は、オンライン上で1対1の関係でつながることができます。教師は、授業中でも生徒個々人の学習の進捗状況を把握できるようになります。リアルタイムで、双方向の一斉授業が可能になっています。

タブレット活用で、協働授業の実施が可能に。

教育用タブレット導入による教室の変化、その3番目は「協働的な学び」が可能になったことです。

タブレットを通して、クラス内の生徒だけでなく、遠隔地のいる年代の異なる学生や、海外の同世代の生徒、あるいは地域の人々とつながりながら、多様な意見に触れながらひとつの教育プロジェクトをすすめるといった、新しいかたちの授業が可能になります。

タブレット活用で、学校と家庭のシームレス化が可能に。

教育用タブレット導入による教室の変化、その5番目は、「学校と家庭のシームレス化」です。
教室で使ったタブレットを家庭に持ち帰り、動画やデジタル教材で授業の復習や予習を行うなど、教室の外でも継続的に学習に取り組むことが可能です。

またタブレットを使ってSNSなどオンライン上の意見交流の場に参加し、学校内だけでは得られないさまざまな意見に触れることもできます。

教育用タブレット対応アプリ4選

ここからは、教育用タブレットでOSを問わず活用できる代表的なアプリを紹介します。

Google for Education(グーグル フォー エデュケーション)

Google for Education(グーグル フォー エデュケーション)は、Google社が生徒と教員向けに設計したツールの総称です。 教育機関向けにカスタマイズした「G Suite for Education」や、課題の作成・管理が簡単にできる「Google Classroom」などがあります。

なかでも「Google Classroom」(グーグル クラスルーム)は、クラス単位で生徒や学習内容を運営・管理できるツール。動画やアンケート機能のついた課題の作成や、リアルタイムで生徒の提出物にフィードバックできる機能などが活用できます。

教師と生徒のためのソリューション Google for Education

児童生徒の学習意欲を高めることに集中(google.com:PDF)

Microsoft 365ほかoffice系アプリ

「Microsoft 365」(マイクロソフト365)は、Microsoft社が提供する教育機関向けのoffice系アプリです。

生徒の好奇心を刺激するような学習ツールや、授業やミーティング、課題の作成、ファイル共有、共同作業などが1カ所でできるTeamsの利用もできます。オンライン上で、教室の外でつながることも可能です。

Microsoft 365 - サブスクリプションで Office アプリを使用 Microsoft 365

ロイロノート

「ロイロノート」は、LoiLo(ロイロ)社が提供するクラウド型授業支援アプリです。ロイロノートを提供しているのは、日本のスタートアップ企業。もともとは動画編集ソフトとして生まれ、2010年頃から教育ツールとなり、これまで改良を加えてきました。

ロイロノートは、子どもたちが主体的に楽しみながら思考力やプレゼン力を育むツールとして注目を集め、2022年3月には、ロイロノート・スクール の利活用者数は、1日 200万人を突破しています。

【ロイロノート・スクール】1人1台GIGAスクールに最適な授業支援クラウド(loilo.tv)

MetaMoJi ClassRoom(メタモジ クラスルーム)

「MetaMoJi ClassRoom(メタモジ クラスルーム)は、株式会社MetaMoJiが提供する、生徒の学習状況をリアルタイムに把握できる授業支援アプリです。

一斉学習・個別学習・グループ学習など、授業のシーンに合わせて授業ノートを作成できます。
ページ移動やズームイン、書き込みなどがリアルタイムで共有できるにもメリットです。生徒全員の学習状況を手元でモニタリングし、生徒から理解度を教員に知らせることもできます。また、教員が各生徒の画面に入り、個別指導することも可能です。

MetaMoJi ClassRoom - リアルタイム授業支援アプリケーション MetaMoJi ClassRoom 無料体験版お申込み

教育用タブレット導入後のポイント

ここからは、教育タブレットの導入後に考慮したいポイントをご紹介しましょう。

保護者の理解と協力を得る

教育タブレットの導入に際しては、生徒に対する指導だけでなく、保護者の理解や協力が欠かせません。

保護者とは、ネットワーク環境など、生徒が安心・安全にタブレットを利用できる環境づくりに協力してもらうことに加えて、タブレットの使用時間を守る、学習に関係のない目的では使わないなど、家庭でタブレットを使う場合のリテラシーやルールを決めてもらうよう要請できると理想的です。

情報リテラシーの周知

教育用タブレットを使うにあたっては、セキュリティを含めた情報リテラシーに対する教育が必要です。
たとえば「アカウントやパスワードは適切に取り扱う」、「本人の許可なく写真撮影や録音・録画をしない」、「個人情報をインターネット上に書き込まない」など、安全に使うためのポイントを周知します。

タブレットの管理

学校におけるタブレットの管理の徹底が必要です。
たとえば、

  • 授業に必要なアプリのインストール作業
  • 操作性を同じにするためにアプリのバージョンを合わせるアップデート作業
  • 授業で使う動画を視聴するためのアクセス設定を変更する作業
  • 紛失や盗難したときに遠隔操作を行う作業

など、こうした設定や変更をクラス全員、全学年、全校生徒など、大量のタブレットに対して実行する必要がある場合は、情報担当教師だけでは、とても手に負えません。

このようなタブレットの管理には、ICT支援員やヘルプデスクなど、外部スタッフの協力を仰ぐ必要があります。

まとめ

  • 教育用タブレットの導入率は?:
    2022年現在では、ほぼ100%、教育用タブレットの導入が完了。
  • 教育用タブレットを導入して、教室はどう変わった?:
    • GIGAスクール構想「誰ひとり取り残さない教育」が可能に
    • 双方向の授業が可能に
    • 協働授業が可能に
    • 学校と家庭をシームレス化が可能に
  • 教育用タブレット導入後のポイント:
    • 保護者の理解と協力を得る
    • 情報リテラシーの周知
    • タブレットの管理

以上、教育タブレット導入による教室の変化や、おすすめアプリについてご紹介しました。

タブレットを導入後、管理の面で課題がある場合、人的リソースの不足は、民間事業者のヘルプデスクを利用することで補うこともできます。
ヘルプデスクであれば、メールや電話で問い合わせに対応してくれます。ちょっとした疑問も気軽に尋ねることができます。日常のICT業務は多岐に渡るため、ICT支援員とヘルプデスクを併用する学校も少なくありません。

ヘルプデスクは、対面ではなく、メールや電話が基本となりますが、多岐にわたるICT業務について気軽に問い合わせできるのがメリットです。

KDCのヘルプデスクには、ICT支援員やシステムエンジニアなどICTのプロフェッショナルが常勤しており、端末のトラブル対応からアプリの基本操作まで幅広く支援します。
たとえば、

  • ログインできない
  • 電源がつかない
  • アプリの操作がわからない

という、ちょっとしたお困りごとから、

  • 全校生徒分のアプリをインストールしたい
  • OSの最新バージョンを全校一斉にアップデートしたい
  • 起動しないアプリを点検して、再インストールしたい

といった教育の現場で大量に発生する業務にも対応しています。

KDCは「電話がつながるヘルプデスク」として、電話応答率が90%以上、簡単なお問い合わせであれば数分で解決へ導いてきた実績があります。
メールからのお問い合わせにも、受付時間内であれば、平均1時間以内というスピード感で応答します。

ICTのお困りごとは、ぜひ、KDCのヘルプデスクにご相談ください。

参照元

  • GIGAスクール構想に関する各種調査の結果(文科省:PDF)
  • GIGA スクール 構想の実現へ(文科省:PDF)