2023.03.03 (金)
GIGAスクール時代の年度更新、キッティングのコツ。
OSごとに手順を紹介。
GIGAスクール構想のもと、全国に配備された端末は、年度更新時に大量のキッティングが必要となります。クラス単位、学年単位、学校内の全端末など、大量の端末に対して発生するキッティングでは、効率的で質の高い作業が求められます。
この記事では、キッティングの概要を説明するとともに、OSごとにキッティングを効率的に行うためのポイントをまとめました。
年度更新のキッティングをスムーズに進めたいとお考えている方は、お役立てください。
GIGAスクールの年度更新で求められるキッティングとは?
まず、GIGAスクールで使う端末でのキッティングの作業内容について解説します。
GIGAスクールにおけるキッティングとは?
「キッティング(kitting)」とは、そもそもIT用語で、端末をすぐに使える状態にするために必要な設定作業のことを指します。GIGAスクールでは端末の導入時と、年度更新の際にキッティングを実施します。
キッティングは、一般的には次のような手順で行います。
- 端末の電源を入れる
- ログインユーザーを作成する
- ホスト名やIPアドレス等を設定する
- ネットワーク接続の設定をする
- セキュリティ設定を行う
- 動作状況を確認する
- ラベルを貼付する
クローニングとは?
「クローニング(cloning)」とは、事前にコピー元となる端末を作成し、そのコピー元の端末の情報を複数の端末に複製していく方法です。学習ソフトにも、年度更新は必要?
年度更新は、端末の基本的な設定だけではなく、学習ソフト(アプリ)においても必要がある場合があります。場合によっては、ライセンス認証を行うケースもあります。代表的な授業支援ソフト「ロイロノート」の年度更新のポイントは、こちらをご参照ください。
年度更新のキッティングのポイントは?
GIGAスクールにおいて、年度更新など大量に発生した端末のキッティング作業を、職員で手分けして1台ずつ手作業で実施することは現実的ではありません。キッティングには1台あたり、数十分〜数時間の時間がかかります。また、年度更新は、もともと多忙を極める年度末と重なることもあり、慣れない教職員が行う場合は設定ミスなどの懸念もあります。
GIGAスクールによって端末の利用が広まった2023年現在は、ICT支援員を含めて、外部の事業者に委託する学校が一般的です。
外部に委託する場合でも、事前に必要な人員と工数を把握し、作業をスムーズに行うために進行管理を行うことが肝要です。
Chrome OSのキッティング
ここからは、chromebook (ChromeOS) のキッティングのポイントについてご紹介します。「G Suite for Education」の初期設定
ChromeBookは、キッティング前に、「G Suite for Education」の初期設定が必要です。「G Suite for Education」の初期設定には、申込・開設が必要です。
事業者に委託する場合、申込・開設は教育委員会が行い、事業者へは「G Suite for Education」の構築に必要な情報を伝えて作業を依頼します。
ChromeBookの初期設定
ChromeBookの初期設定はシンプルな工程で、特別な専門スキルが必要ありません。とてもキッティング作業がしやすい端末といえるでしょう。
OSの更新と端末の登録だけで、1 台あたり1分〜数分程度で終わります。
作業の手順は以下のとおりです。
OSの更新
次のいずれかの方法を選んで更新します。- Wi-Fi 経由で更新
- LTE 経由で更新
- USBメモリで更新
端末の登録
以下の手順で行います。- ネットワークを選択
- 登録用のID・パスワードの入力
- 登録完了の確認
詳しくは、こちらの記事もご参照ください。
詳しくは、こちらの公式サイトもご参照ください。
Apple(iPad)のキッティング
Apple(iPad)のキッティングは、ID・端末・アプリを一元管理できる「Apple School Manager」とMDM(モバイルデバイス管理)を使ってキッティングします。MDMとは、端末を一元的に管理・運用したりセキュリティを維持・強化したりできるソフトウェアです。
事前設定
キッティング前の事前準備として、登録や事前設定は事業者もしくは教育委員会が対応し、以下の作業を行います。- 「Apple School Manager」登録・設定をしてIDを作成する
- MDM設定により、ネットワーク設定を行う
キッティング
iPad本体のキッティングの基本的な手順は次のとおりです。校内に必要なインフラが整っている場合は、教員やICT⽀援員が行うことができます。- インターネット接続により MDMでの事前設定内容を端末に反映させる
- 端末へアプリケーションの一括インストー ルを行う
- 端末固有のデバイスIDで サインインする(共用の場合)
- 教員・生徒に端末とともにID・初期パスワードを配布し、一度だけ利用者IDでサインインする
学校端末に欠かせないMDMサービスを事例で紹介。運用時のポイントも。
学校におけるMDMとは?教育の現場に導入するメリットは?
詳しくは、こちらの公式サイトもご参照ください。
Microsoftのキッティング
GIGAスクール対応端末を導入するユーザーを対象に、Microsoftでは、無償の端末展開支援サービスとして「GIGAスクールWindows PC導入展開パック」を提供しています。クラウドサービスの利用により、3つのステップでキッティングが簡単に完了するサービスです。クラウド上で提供される認証基盤とMDMを利用することで、インターネット接続された端末を簡単・迅速にカスタマイズできます。
クラウドを設定する
クラウドの設定を行うのは、事業者(日本マイクロソフト株式会社)と教育委員会です。まず、教育委員会がテナントを取得し、事業者にユーザー情報を提供します。事業者は提供されたユーザー情報をもとにIDリストを作成し、生徒のアカウントをテナントに登録します。
次に、事業者がMicrosoftのMDMサービス「Intune for Education」に端末管理のための設定を行うという流れです。
初期設定ファイルを作成する
事業者は校内のWi-Fiネットワーク設定を行い、MDMへの端末登録を自動化するための初期設定ファイルを作成します。端末をMDMに登録したあとは、端末の電源をONしてUSBメモリを挿入するだけで各種の設定が自動で行われるという仕組みです。
さらに生徒が端末にログインすれば、最初に設定したMDMの内容が端末に自動適用されます。
詳しくは、こちらの公式サイトもご参照ください。
まとめ
- 年度更新のキッティングのポイントは?:
- ICT支援員など外部事業者に委託するのが一般的。
- 事前に必要な人員と工数を把握し、作業をスムーズに行うために進行管理を行う。
- Chromebookのキッティングのポイント:
- キッティング前に、「G Suite for Education」の初期設定が必要
- Apple(iPad)のキッティングのポイント:
- 「Apple School Manager」とMDMを使ってキッティングを実施。
- Microsoftのキッティングのポイント:
- 「GIGAスクールWindows PC導入展開パック」からキッティングを実施。
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