2022.11.25 (金)

遠隔教育(オンライン授業)、5つのメリットと2つの授業プラン。

遠隔教育とは、通学が困難な児童生徒に対して、あるいは学級閉鎖などの非常時において、先生と児童生徒が場所を限定せずにオンライン上でやりとりできる学習の形態です。オンライン授業とも言います。
遠隔教育は、児童生徒1人1台にICT端末配備を掲げるGIGAスクール構想がスタートした2019年時点では5カ年計画で進められましたが、2020年の新型コロナウイルスの世界的な感染により、一気に実現しました。その結果、非常時に限らない遠隔教育のさまざまなメリットが、実感をもって注目されるようになったのです。
この記事では、不登校の子どもの学びや海外とのコミュニケーションなど、遠隔教育の5つのメリットと2つの授業プランをわかりやすく紹介します。

遠隔教育(オンライン授業)とは?【わかりやすく解説】

遠隔教育イメージ

ここからは、遠隔教育(オンライン授業)の基本について、わかりやすく解説します。

遠隔教育(オンライン授業)とは?

遠隔教育(オンライン授業)とは、インターネットに接続したパソコンやタブレット(ICT端末)を使い、教室以外の場所にいても、あるいは児童生徒と教師が離れた場所にいても、非対面で授業を行うことができる学習方法です。

遠隔教育を支援するストリーミング、2つのタイプ

遠隔教育(オンライン授業)は、ストリーミング(streaming)という方式で行われるのが一般的です。ストリーミングでは、動画データを事前にダウンロードしてから視聴が始まるのではなく、データをリアルタイムで受信しながら再生します。このため、高速ネットワークの環境が前提となります。

ストリーミングには、2つのタイプがあります。

  • 同時双方向型(ライブ配信):
    テレビの生放送のように、リアルタイムに動画を配信します。子どもからの質問に、その場で答えることができます。
  • オンデマンド型:

    事前に作成しておいた動画を配信します。家庭科など、手順を説明するプロセス動画などは、事前に撮影しておけば、何度も同じ授業をする必要がなくなります。

遠隔教育、5つのメリット

ここから、遠隔教育の5つのメリットを紹介します。

メリット①遠隔地の児童・生徒と協働的な学びができる

遠隔教育のメリット①は、都市部と地方の教育格差の是正に活用できる点です。

たとえば、都市と地方、それぞれの地域で暮らす児童・生徒が、オンラインを通じて、協働学習を実施すれば、遠隔教育によって、自分が暮らす生活圏以外の場所で暮らす同年代の子どもたちの多様な意見に触れる機会となり、社会性の育成か期待できます。

メリット②外国人講師の指導を受けることができる

遠隔教育のメリット②は、国境も超えた学びの実現です。

小学校で英語科目が必修化されるなど、外国語学習の必要性が高まるなか、遠隔教育を活用すれば、外国ともオンランでつながることができます。オンライン上で、海外に暮らす外国人講師と英語でコミュニケーションを取ることは、語学学習にとどまらず、国際感覚の育成やコミュニケーション能力の向上につながることが期待できます。

メリット③不登校の子どもに対する学習支援

遠隔教育のメリット③は、不登校の子どもに対する学習支援です。

2021年度の小中学生の不登校の児童生徒は、過去最多の24万人を記録しました。
不登校の児童生徒は、学習意欲をなくしているとは限りません。むしろ学びへの欲求は強いものの、何らかの事情で学校にいけないケースも少なくありません。遠隔教育は、急増する不登校の児童・生徒に対して、学習機会を提供できる手法として期待されています。

メリット④病気など療養中の子どもへの学習支援

遠隔教育のメリット④は、病気や怪我などにより通学が難しい子どもたちに対する学習支援です。

遠隔教育で活用する端末に入っているWeb会議システムは、特別な設備は不要。パソコンやスマートフォン・タブレット端末のアプリやソフトから直接接続ができるため、自宅や病室からでも授業に参加することができます。

メリット⑤非常時の学習支援

遠隔教育のメリット⑤は、非常時の学習支援です。

文部科学省が2021年2月に出した「感染症や災害等の非常時にやむを得ず学校に登校できない児童生徒に対する学習指導について(通知)」では、対面指導が不要な「オンラインを活用した特例の授業」として、「同時双方向型(ライブ配信)」と「オンデマンド型」の併用が認められています。

やむなく学校が休校した場合でも、通信環境が整っていれば、どこからでも遠隔教育を行うことができます。

感染症や災害の発生等の非常時にやむを得ず学校に登校できない児童生徒の学習指導について

遠隔教育(オンライン授業)の2つの授業プラン

ここからは、遠隔教育を活用した授業プランを2つご紹介しましょう。
遠隔教育の特性について理解を深めたうえで、遠隔教育ならではの授業プランを検討するヒントにしてください。

授業プラン①「協働的な学び」につながる学校の垣根を超えた合同教育

遠隔教育の授業プラン①は、学校の垣根を超えた合同教育です。

たとえば、過疎地にある少人数のクラスと、都市部の教室をオンラインで結び、合同授業や体験学習を実施します。授業のテーマは「地元の良いところを自慢する」といった身近なテーマが盛り上がるでしょう。

こうした合同教育は、「協働的な学び」につながる授業形態であり、児童・生徒は、多様なものの見方や考え方について触れる機会となるでしょう。

授業プラン②外国語学習など専門家を招いた特別授業

遠隔教育の授業プラン②は、普段の授業で体験できない専門性の高い体験型の学習です。

英語をはじめとした外国語の指導者や大学、民間企業などの専門家をオンラインで招いて授業をしてもらいます。海外に在住のネイティブスピーカーとオンラインを通してコミュニケーションをとることで、英語学習だけではない、国際感覚などに触れる経験ができます。

また、プログラミングの授業においても、外部の専門家を講師として招くこともできます。ICT端末を通して、具体的にアドバイスをもらったりしながら、プログラムを完成させるといった授業もできます。

遠隔教育(オンライン授業)、課題と改善のヒント

ここからは、遠隔教育を実施する上での課題と、それを改善するヒントをご紹介します。

通信環境を整備する

遠隔教育は、通信環境と端末の機能が、授業に大きく影響を与えます。
学校のネットワーク環境はもとより、児童生徒が家庭でオンライン授業を受ける場合、通信回線が貧弱だったり、ICT機器が不調だったりするなどのトラブルがあると、スムーズに視聴できません。インターネット環境は、家庭によって格差が生まれがちです。

また教師側は、さまざまな機器のなかでもマイクは重要になります。音声の乱れや遅延は、授業の進行に大きな影響が及ぼします。マイクの機能としては、ミュートやエコーキャンセラー機能があるものがおすすめです。

子どもたちの身体への負担に配慮する

遠隔教育では、ディスプレイを長時間見続けることで、眼精疲労による視力低下や肩こり、腰痛など成長期の子どもにとっての身体的な負担が懸念されています。

文部科学省では、児童生徒が適切にICT端末を活用できるよう、椅子の高さや、姿勢などの適切な調整方から、子どもたちの目が疲れないためのフォントの選び方まで、教員がICT端末を活用して指導するときの助けになるガイドブックを提供しています。

児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック

ITリテラシーを学ぶ

遠隔教育では、児童生徒にもITリテラシーが求められます。
児童生徒が、自宅でICT機器を使ったオンライン学習を受ける場合は、周囲に教員やクラスメイトがいないため、操作方法でつまずいたときの手助けをしてくれる人材が保護者や兄弟になります。

もし遠隔教育で、子どもが操作方法でつまずいたときはどのような対応をすればよいのか、授業前にシミュレーションしておくことも必要です。

ICT機器の操作方法やトラブル対応はICT支援員が対応する

遠隔教育を行なうためにICT機器の準備や、授業中の機器の操作、トラブルへの対処が大きな負担になります。
ICT支援員は、教師が遠隔教育の内容に専念するために、専門的な知識をもとに授業支援を行います。遠隔教育におけるICT支援員の役割としては、次のようなものが挙げられます。

  • ICT機器等の準備や通信テスト
  • 授業中の機器操作、子どもたちの端末操作の支援、トラブルが起きた際の復旧対応
  • 教員のデジタル教材やICTを活用した指導案の作成支援
  • 先進事例等を整理して、教職員への情報提供
  • ICT機器等の使い方や効果的な活用方法等の校内研修実施

まとめ

  • 遠隔教育(オンライン授業)とは:
    ICT端末を介して、非対面でありながら、オンライン上で授業を行なう仕組み。
    「同時双方向型(ライブ配信)」と、「オンデマンド型」がある。
  • 遠隔教育(オンライン授業)の5つのメリット:
    • ①遠隔地の児童・生徒と協働的な学びができ
    • ②外国人講師の指導を受けることができる
    • ③不登校の子どもに対する学習支援
    • ④病気など療養中の子どもに対する学習支援
    • ⑤非常時の学習支援
  • 遠隔教育(オンライン授業)の2つの授業プラン:
    • ①「協働的な学び」につながる学校の垣根を超えた合同教育
    • ②外国語学習など専門家を招いた特別授業
  • 遠隔教育(オンライン授業)、課題と改善のヒント:
    • 通信環境を整備する
    • 子どもたちの身体への負担に配慮する
    • ITリテラシーを学ぶ
    • ICT機器の操作方法やトラブル対応はICT支援員に依頼する

以上、遠隔教育についてわかりやすくまとめました。

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(初回投稿日:2022.04.12)