ゲーミフィケーション×教育。
授業で役立つ活用例と勉強アプリ紹介。
ゲーミフィケーションの活用が、教育の現場で増えています。ゲームの要素を他の分野に応用するゲーミフィケーションという手法が勉強アプリなどを通して広まり、従来の詰め込み教育とは一線を画したゲームのように楽しみながら学びを深める手法に注目が集まっています。
この記事では、教育におけるゲーミフィケーション活用例や授業で使える勉強アプリをご紹介します。
教育におけるゲーミフィケーションとは?
ここからは、ゲーミフィケーションが注目されている背景について紹介します。
ゲーミフィケーションとは
ゲーミフィケーション(gamification)とは、ゲームの要素や仕組みをゲーム以外の分野に応用したアプローチです。
たとえば、
「課題をクリアして、ポイントや経験値を数値化、可視化しながらレベルをアップしていく」
「モチベーションを持続しながら、熱中していく」
こうしたゲームの仕組みを他の分野に応用して、業務の効率化や生産性アップ、課題解決へつなげていきます。
企業とゲーミフィケーション
ゲーミフィケーションの手法は、多くの企業が採用しており、豊富な活用事例があります。
企業のゲーミフィケーション例:スターバックスコーヒー
スターバックスコーヒーでは、「行動や結果に対してポイントを与える」ゲームの仕組みに着目したプロモーションを展開していました。アプリでポイントカードの仕組みを作り、ポイントが貯まると無料のドリンクやトッピングをもらえる仕組みです。
企業のゲーミフィケーション例:ユニクロ
プチプラ最大手のユニクロでは、リサイクル商品の回収に、ゲーミフィケーションの報酬システムを取り入れ、リサイクルに協力したユーザーには、クーポンを配るキャンペーンを実施しました。
両社ともに、ゲーミフィケーションによってリピーターを増やし、生産性を高めることに成功しています。 マーケティングやプロモーション以外にも、業務マニュアルの学習といった社内研修の分野で多くの大手企業がゲーミフィケーションの手法を取り入れています。
ゲーミフィケーションとICT教育
ゲーミフィケーションは、文部科学省の唱える「主体的な学び」の実現に最適なアプローチです。モチベーションを持続しながら熱中するゲームの仕組みをそのまま学習に応用することで、児童生徒が自ら進んで学び始めることが期待できるからです。
ゲーミフィケーションを取り入れた授業に、ICT端末は欠かせません。2022年現在、教科別にクイズ形式やゲーム形式の勉強アプリが数多く提供されており、そうしたアプリを使ったゲーミフィケーションの授業が増えています。
ゲーミフィケーション×教育 活用事例4選
ここからは、ゲーミフィケーションを教育的な視点で活用している事例を紹介します。
ゲーミフィケーション×教育 事例①:情報リテラシーを学ぶ「Troll Factory」
ゲーミフィケーション活用例のひとつ目は、ICT教育先進国であるフィンランドの国営放送「Yle」がリリースしたオンラインゲーム「Troll Factory(トロール ファクトリー)」です。
「Troll(トロール)」とは、ネットの「荒らし」を意味するスラングであり、このゲームでは、プレイヤー自身が荒らしを演じて、荒らしの迷惑行為を疑似体験します。皮肉とエッヂが効いたこのゲームの真の狙いは、SNSなどネットニュースの真贋の見極めが難しい現在、ネットリテラシーを向上することにあります。
情報リテラシー教育を単純に注意喚起するのではなく、「自ら体験することで、その重要性に主体的に気づいていく」というユニークなアプローチです。
ゲーミフィケーション×教育 事例②:地域の問題を考える「メイキット」
ゲーミフィケーション活用例のふたつ目は、メイキット(make it!)。まちのなかにある資源を使って、「まちの声」という要望に応えるアイデアを発表するゲームです。2020年には、ゲーミフィケーションの手法を使って社会問題を解決する挑戦を讃える「第1回全日本ゲーミフィケーションコンペティション」でグランプリを受賞しました。
まちの声は、実際の自治体が策定している地域の課題を取り入れて作られています。「まちの資源」は、総務省が地域の資源と定義しているものなどを参考にして作られており、リアルな現実とゲームの世界がシームレスに連携しているのが、ユニークなポイントです。
ゲーミフィケーション×教育 事例③:ゴミ拾いをスポーツとして楽しむ「スポGOMI」
ゲーミフィケーション活用例の3番目は、「ごみ拾い」という社会奉仕活動をゲーミフィケーションの手法でリ・ブランディングを行い、「新しいスポーツ」として提唱している「スポGOMI」です。
「スポGOMI」では、地域のごみ拾いに、制限時間を定めてチーム制で取り組みます。そして、チームごとにごみの量と質でポイントを競います。チーム制、時間制限、ポイント制をという、ゲームの手法を取り入れるだけで、参加者は夢中になってゴミを探し始めるそうです。
さらに、参加者の子どもたちにとってはごみに対する意識が変わり、ひいては環境問題に対する意識を高めることが期待されています。
ゲーミフィケーション×教育 事例④:SDGs教育教材「クロス」
ゲーミフィケーション活用例の4番目は、「X(クロス)」です。2018年、金沢工業大学SDGs推進センターが中心となって開発したSDGsを教材したアクションゲームです。
「スポGOMI」では、地域のごみ拾いに、制限時間を定めてチーム制で取り組みます。そして、チームごとにごみの量と質でポイントを競います。チーム制、時間制限、ポイント制をという、ゲームの手法を取り入れるだけで、参加者は夢中になってゴミを探し始めるそうです。
対象年齢が小学生から高校生までと幅広く、SDGsの17の課題をゲームとしてとらえて、それぞれの開発目標を楽しみながら理解を深め、さらにアクションにまでつなげることができるような工夫がなされています。
ゲーミフィケーション×教育 勉強アプリ3選
ここからは、授業でも使えるゲーミフィケーションの手法を使った勉強アプリを紹介します。
数学の王者:フルゲーム
「数学の王者:フルゲーム」は、数学のゲーミフィケーションアプリです。農夫、または農婦としてスタートして、問題に正解していき王様を目指します。
レベルが上がるごとに、新しいキャラクターや音楽が現れます。自分のスコアを友だちや世界中のプレイヤーと比較することもできます。「ゲームに夢中になって競争を勝ち抜いていくうちに、数学ができるようになる」というゲームの心理状態を応用しています。
Duolingo
「Duolingo(デュオリンゴ)」は、世界28カ国1億人以上のユーザーを誇る言語教育のプラットフォームです。
ゲーミフィケーションの仕組みを活用した外国語学習のアプリで、英語学習についてはリスニングとリーディングに対応しています。ゲームと同じように難易度の低いレベルから始まり、経験を積むごとに、難しくなっていきます。繰り返し学習によって、英語の基礎を身につけていきます。
中学生・高校生の暗記アプリ マナビミライ
「マナビミライ」は、暗記を目的にしたアプリです。主要5教科の暗記すべき内容を約3万問を収録。アプリに蓄積された学習履歴をもとに、正答率の低い苦手な問題を繰り返し学習して克服に導きます。暗記方法にゲーミフィケーションの仕組みか活用され、クイズ形式で答えを導くモードがあります。
また教師向けにアプリの解説をしているページが用意されています。こちらのページの「オリジナルの問題を生徒に配信する方法」などを参考に、授業に取り入れることもできます。
- 利用: 無料
- レベル: 中学生~高校生
- 対応OS:iOS、Androidアプリ
まとめ
- 教育におけるゲーミフィケーションとは:
文部科学省の唱える「主体的な学び」の実現に最適なアプローチです。モチベーションを持続しながら熱中するゲームの仕組みをそのまま学習に応用することで、児童生徒が自ら進んで学び始めることが期待できる。 - 教育におけるゲーミフィケーションとICT教育の関係は:
ゲーミフィケーションを取り入れた授業に、ICT端末は欠かせない。教科別にクイズ形式やゲーム形式の勉強アプリが数多く提供されており、そうしたアプリを使ったゲーミフィケーションの授業が増えている。
以上、遠隔教育についてわかりやすくまとめました。
参考までに、別記事では、ゲーミフィケーションの基本的な考え方や授業で取り入れるためのヒントをご紹介しています。
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参照元:
- PRWire(共同通信:プレスリリース/ニュースリリース配信サイト)
- 金沢工業大学 SDGs推進センター(金沢工業大学:Webページ)