アクティブ・ラーニングとは?
学習プランから活用例までわかりやすく解説!
アクティブ・ラーニングとは、生徒が主体的・能動的に学びに向かうよう設計された学習法です。
アクティブ・ラーニングは、2017年度の新学習指導要領の柱となる考え方。教師から生徒へ、一方通行に講義する従来の詰め込み型教育とは対象的に、生徒が自ら考え、学びに向き合うことで、予測不能な課題に対して「正解」に留まらず、「納得解」を導きだすことのできる人材の育成を目指します。アクティブ・ラーニングは、文部科学省も積極的に推進しており、授業に取り入れる学校も増えています。2021年度の大学入試において、推薦・総合(AO)型入試が受験生の半数を超え、「偏差値教育の終焉」と目されるなか、その重要度は、年々増しています。
この記事では、アクティブ・ラーニングのメリットや具体的な手法をわかりやすく解説するとともに、中学校で実際に行われているアクティブラーニングの事例までを網羅して解説します。
アクティブ・ラーニングとは?【わかりやすく解説】
アクティブ・ラーニングとは、生徒が能動的に考え、学習する教育法です。文部科学省が積極的に推進しているアクティブ・ラーニングについて、その意義やメリットについて解説します。
アクティブ・ラーニングをひと言でいうと「主体的な学び」
アクティブ・ラーニングは、従来型の一斉授業と対照的に、生徒がみずから学ぼうとする能動的な姿勢を促すための教育法です。アクティブ・ラーニングをひと言で言えば、「主体的な学び」と言えます。
少子高齢化やグローバル化など、変化が激しいこれからの社会で生き抜くためには、従来型の正解をひたすら詰め込んでいく学習ではなく、生徒一人ひとりが能動的・主体的に問題解決に向き合う姿勢が求められます。そこで、教育現場でも主体的な学びを重視する「アクティブ・ラーニング」が注目されるようになりました。
文部科学省は、2017年度新学習指導要領においてアクティブ・ラーニングというキーワードを盛り込み、「子どもたちが主体的に学ぶこと、グループの中で協働的に学ぶこと」に言及しています。
アクティブ・ラーニングが直感でわかるキーワード
アクティブ・ラーニングは、授業に受け身の姿勢で参加するのではなく、自ら積極的に関わりながら問題解決能力を育みます。問題解決能力とは、ひとつの正解を見つけることに重点が置くのではなく、正解のない問題をどのように解決するかを目指します。
このようなアクティブ・ラーニングの在り方を、これまでの授業と比較しながら、わかりやすくキーワードで表してみましょう。
- 授業を「聴く」より、授業に関わる「主体性」
- 知識量より、思考力
- 正解より、納得
- 暗記力より、分析力
- 独学より、協働
- 表面的な知識より、深い学び
アクティブ・ラーニングができること。【メリット】
- 質の高い学習ができる
アクティブ・ラーニングのメリットは、これまでの偏差値を重視した日本型詰め込み教育からの脱皮ができるという点です。「対話的・主体的で深い学び」であるアクティブ・ラーニングにより、知識の量を減らすのではなく、「質の高い理解を意図した学習」へと改善を図れます。 - 大学入試対策になる
近近年は、大学入試にも変化が起きています。2021年度には偏差値がものを言う一般入試による入学者よりも、推薦、総合(AO)入試による入学者が半数を超えたのです。
学科試験の結果で合否が決まる一般入試と異なり、出願者の能力や人間性など多面的な評価で選抜する推薦、総合(AO)入試には、アクティブ・ラーニングによる主体的で、深い学びがより適しているといえるでしょう。 - 納得解を見つける力を育む
アクティブ・ラーニングでは、生徒同士の対話的な学びを進めながら、課題解決能力を養うこともできます。予測不能な課題に対してただ「正解」を追求するのではなく、納得できる答え「納得解」を出せる人材を育成します。
アクティブ・ラーニングを使った学習プラン4選
アクティブ・ラーニングの学習スタイルは、グループワーク(協働的な学び)が中心となります。ひとつのテーマについて複数の生徒で話しあったり、ほかの生徒に教えたりすることを通して、学習効果の向上が期待できるからです。
アクティブ同時に、グループワークを通して、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力、思考力、判断力、表現力など、多くの能力を育むことにもつながります。
アクティブここでは、アクティブ・ラーニングの代表的な4つのアプローチをわかりやすくご紹介しましょう。
アクティブ・ラーニングの学習プラン①:ジグソー法(jigsaw)
- 概 要:
生徒同士が協力しあい、教え合いながら学習を進める。 - 特 長:
無教育レベルが違う生徒が混在する教室でも、生徒同士が教え合ったり、助け合ったりすることで、どのようなタイプの生徒にも成長が期待できる。 - 手 順:
- 数人のグループを作り、教師が各グループの学習テーマおよびいくつかに細分化した学習内容を伝える
- メンバーは各自担当する学習内容を決め、いったんグループを解散して学習内容別にスペシャリストのグループを作る
- それぞれのスペシャリストグループで担当する内容の学習を深め、ほかの人にわかりやすく教える方法を考える
- スペシャリストのグループを解散し、もとのグループに戻り担当した内容を教え合う
アクティブ・ラーニングの学習プラン②:シンク・ペア・シェア法(Think-Pair-Share)
- 概 要:
教員の問いに、①児童・生徒が自分ひとりで考えて(Think)、②児童・生徒がペアになって情報を共有・議論し(Pair)、③議論した内容をクラス全体で共有(Share)する。 - 特 長:
他の生徒と自分の意見と比較をしながら、自身の考えを深めていくことができる。 - 手 順:
- 教師がクラス全体に1つの質問を出す
- 数分間考える時間を作る
- 生徒がペアを組み、お互いに自分の考えを紹介する
- ペアの考え方が違う場合は、それぞれの考えについて根拠を説明する
- 数人のグループを作り、それぞれのペアで話し合った内容を紹介する
アクティブ・ラーニングの学習プラン③:PBL法(Project Based Learning)
- 概 要:
PBL(Project Based Learning:問題解決型学習)。従来のSBL(Subject based learning:科目進行型学習)と対照的に、正解が複数存在するような問題を解決する体験を通して、問題解決の手法を学ぶ。 - 特 長:
課題について仮説と検証を繰り返して、解決にいたる。解決の結果よりも、仮説と検証の繰り返しの過程こそが学習の目的となる。 - 手 順:
- 少人数のグループを作り、事例を提示してグループワークやディスカッションを行う
- 事例の中から問題点を見つけ出し、解決を目指す
アクティブ・ラーニングの学習プラン④:ラウンド・ロビン法(Round-Robin)
- 概 要:
クラスのなかにいくつかのグループを作り、グループごとに意見やアイデアを順番に話していく。 - 特 長:
出された考えに質問や評価はせず、新しい考えを次々に生み出すことが学習の目的。ブレーンストーミングの手法。 - 手 順:
- 生徒が順番に意見を出す
- 教員から質問や評価を挟まずに、素早くシンプルにアイデアを出すように伝える
- 一巡で終了するのか何度か繰り返すか、ルールを決める
アクティブ・ラーニング、中学校における活用例3選
アクティブ・ラーニングは、実際に多くの小・中学校で実践されています。
ここから、中学校の具体的事例を3事例をご紹介します。
アクティブ・ラーニング活用例①:中1英語
兵庫県彦根市立中央中学校では、「心豊かでたくましく生きる生徒の育成」を目標にアクティブ・ラーニングを取り入れています。
1年生の英語の授業では、相手に伝えたいことを粘り強く表現する力を育成することを目的に、アクティブ・ラーニングを実施しました。
- 「can」を使い、各自が「できること」を、クイズを通して伝える場面を設定する
- 対面形式でクイズを出し合うことで、全員が自然と英語で会話を行い、聴き合い学び合う授業となることを目指す
- 活動を通して友だちをよく知り、自分のできることを知ってもらうことで自尊感情を高める
アクティブ・ラーニング授業実践事例 彦根市立中央中学校1年英語(NITS 独立行政法人教職員支援機構:Webページ)
アクティブ・ラーニング活用例②:中2国語
神奈川県鹿児島市立伊敷中学校では、「新しい時代を切り拓く資質・能力を身に付けた生徒の育成」という研究テーマを掲げています。
アクティブ・ラーニングについては、教科横断的な視点から、「課題発見力」「情報活用力」「論理的思考力」「協働する力」などの育成に向けて取り組んでいます。
2年生の国語の授業では「自分の思いや考えを広げ深める力を育成したい」という目的のもとに、アクティブ・ラーニングを実施しました。
- 学習課題「これからの動物園を企画しよう」を設定する
- 動物園がもつ役割を機能させるという視点から、新たな企画を各自が考える
- 個人で考えた企画をグループで検討する
- グループで検討した企画を全体で共有し、学習を振り返る
アクティブ・ラーニング授業実践事例 鹿児島市立伊敷中学校2年国語科(NITS 独立行政法人教職員支援機構:Webページ)
アクティブ・ラーニング活用例③:中1道徳
東京都豊島区立西池袋中学校は「人間としての生き方を考え、よりよい生き方を求める道徳教育」をテーマに、「特別の教科 道徳」の授業に取り組んでいます。
1年生の道徳の授業に取り入れたアクティブ・ラーニングでは、資料として「ネット将棋」を使いました。お互いの考えや意見を語り合うことで、自分とは異なる見方や考え方に気付き、「責任のある行動」について考えを深めました。
- 中学生になってから、どのようなことに責任を感じるかを教員が生徒に問いかける
- 自由な意志や判断に基づいた行動には責任が伴うことへの考え方を引き出す
- 「ネット将棋」を読んで感想を伝え合う
- 3~4人のグループで意見を交わす
- 考えたことを踏まえて振り返りを行う
アクティブ・ラーニング授業実践事例 豊島区立西池袋中学校1年道徳(NITS 独立行政法人教職員支援機構:Webページ)
まとめ
- アクティブ・ラーニングとは?:
主体的な学び。 - アクティブ・ラーニングでできること:
- 質の高い学習ができる
- 大学入試対策になる
- 納得解を見つける力を育む
- アクティブ・ラーニングを使った学習プラン4選:
- ジグソー法(jigsaw)
- シンク・ペア・シェア法(Think-Pair-Share)
- PBL法(Project Based Learning:問題解決型学習)
- ラウンド・ロビン法(Round-Robin)
以上、アクティブ・ラーニングについて、学習プランや事例も交えて、わかりやすく解説しました。
【ヘルプデスクのご紹介】
アクティブ・ラーニングでグループワークを実施するには、ICT端末の活用が欠かせません。
もしICT端末の管理や操作に不安がある場合は、ICT支援員に相談するのが解決の早道です。ただし、ICT支援員は慢性的な人手不足に加えて、複数の学校を巡回するため、校内に常時待機しているわけではありません。
ICT支援員不在時に気軽に問い合わせできるところから、ICT支援員に加えてヘルプデスクを併用する学校も少なくありません。
ヘルプデスクは、対面ではなく、メールや電話が基本となりますが、多岐にわたるICT業務について気軽に問い合わせできるのがメリットです。研修をするほどではないが、ICTの素朴な疑問に応えます。
KDCのヘルプデスクには、ICT支援員やシステムエンジニアなどICTのプロフェッショナルが常勤しており、端末のトラブル対応からアプリの基本操作まで幅広く支援します。
たとえば、
- ログインできない
- 電源がつかない
- アプリの操作がわからない
という、ちょっとしたお困りごとから、
- 全校生徒分のアプリをインストールしたい
- OSの最新バージョンを全校一斉にアップデートしたい
- 起動しないアプリを点検して、再インストールしたい
といった教育の現場で大量に発生する業務にも対応しています。
KDCは「電話がつながるヘルプデスク」として、電話応答率が90%以上、簡単なお問い合わせであれば数分で解決へ導いてきた実績があります。
メールからのお問い合わせにも、受付時間内であれば、平均1時間以内というスピード感で応答します。
ICTのお困りごとは、ぜひ、KDCにご相談ください。
【ICT支援員のご紹介】
KDCのICT支援員に興味のある方はこちらまでお問合せください。
参照元:
- 新しい学習指導要領の考え方(文科省:PDF)
- アクティブ・ラーニング授業実践事例【200事例】(独立行政法人教職員支援機構:Webページ)
- 「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」ハンドブック(文科省:PDF)