2023.07.07 (金)

ICT支援員になるには?
将来性と求められる人物像を深掘り。

ICT支援員は、学校のデジタル化を進めるうえで必要不可欠な存在です。文部科学省も4校に1人配置することを推奨しており、期待の大きさがうかがえます。
ICT支援員とは、具体的にどのような業務を担っているのでしょうか。そして支援員になるには、どのようなルートがあるのでしょうか?
この記事では、ICT支援員の業務内容から将来性、そして支援員になるには、どのような能力やスキルが求められるのかをわかりやすく解説します。
(2022.12.09 初出 2023.07.07 更新)

ICT支援員とは?【わかりやすく解説】

ICT支援員になるには?

まず、ICT支援員の主な業務やスケジュール例とともに、その将来性についても深掘りします。

学校のデジタル教育を幅広くフォロー

ICT支援員とは、学校でパソコンやタブレットなどのデジタル端末、電子黒板などのデジタル機器を使った授業を行う際に、実務的な業務を補佐する人材です。

端末を活用した授業では、生徒の操作を手助けしたり、授業後には端末のメンテナンスをしたり、必要に応じて教員に対して研修を行うこともあります。

場合によっては授業開発のアドバイス、校務システムの操作方法の指導など、ICT教育にまつわる業務に幅広く対応します。

授業支援

ICT支援員のメイン業務は、端末を使った授業中のフォローです。

支援員は、授業前にタブレットやパソコンのセッティングを行い、授業後には端末の片付けも担います。端末の準備や管理を支援員が担うことで、忙しい教員の負担を減らします。

授業中は、生徒のパソコンやタブレットの操作を補佐します。生徒が端末の操作に迷ったときに解決へ導いたり、不具合が生じたときに対応したりします。支援員が端末周辺の突発的な事象をフォローすることで、教員は、授業の進行に集中できるようになります。

校務支援

ICT支援員は、校務でも大きな力となっています。

パソコンを使った学籍管理や出欠管理、成績処理などの操作や活用のアドバイスを行い、校務におけるデジタル関連業務を補佐します。端末の管理台帳の管理、運用も重要な業務のひとつです。

学校によってはホームページの更新やメンテナンス、場合によっては、SNSの運用も担当します。

校内研修支援

ICT支援員のもうひとつの業務は、校内で行われる研修の補佐や指導です。

たとえば、特定のアプリの操作方法や効率的な使い方や、写真や動画の保存方法、印刷方法などをレクチャーします。場合によってはデジタルを活用した授業計画の策定や教材の作成などを手伝ったり、教員のICT活用指導力を活かすためのアドバイスも行ったりもします。

環境整備支援

ICT端末や環境の整備も、支援員の大切な業務です。

たとえば端末の日常的なメンテナンスやソフトウェアの更新、MDM(モバイルデバイス管理)を使った端末の一括管理などを行います。

そのほかに端末に不具合が発生した場合には、トラブルの一次対応も行います。発生した問題を明確にして、ヘルプデスクや機器のメーカーに問い合わせします。このような手間のかかる作業は教員に大きな負担を強いることになるので、支援員の力の見せどころといえるでしょう。

ICT支援員の1日のスケジュール

ICT支援員の1日は、どのようなスケジュールで動いていくのでしょうか。ここからは、典型的な支援員の1日の業務の流れを紹介します。

1限・2限

担当教員と授業の進め方を確認してから、ICT機器の設置、動作確認などの事前準備を行います。授業中は生徒の操作を見回りして、生徒からの質問にも対応します。

3限

空き時間には、生徒や教師がわかりやすいような操作方法の資料を作成します。

4限・5限

授業支援のほか、教員からの質問に回答、アドバイスします。

6限

1日の業務内容、デジタル端末や機器の授業実践報告などの報告書を作成します。

ICT支援員の将来性は?

文部科学省が1500の自治体を対象にした2021年度の調査では、ICT支援員の配置状況、ICT活用の課題について、次の2点が浮上しました。

  • 授業におけるICTの活用
  • 教員のICT指導力の向上

実に80%以上の自治体が課題として挙げています。

一方、支援員を配置している自治体は、1500自治体のうち42%にとどまっていることもわかりました。文部科学省は4校あたり1人の支援員の配置を推奨しており、未配置の自治体でも支援員の活用を検討したことがある割合は82%と高い水準になっています。

これらの調査から、ICT支援員は、将来性がある職業であることがわかるのではないでしょうか。

ICT 支援員は教員から頼られる存在

同じ調査からは、学校における支援員の存在感が伝わる声も伝わります。

ICT支援員を配置している教育委員会のアンケートを見ると、「授業」、「校務」、「校内研修」、「環境整備」、それぞれの支援において、教員の負担軽減やデジタル端末の活用にプラスになっていることがわかりました。

また支援員を配置している600の自治体を対象にしたアンケートでは、「授業支援で教員の負担が軽減できている」という設問に85%の自治体が肯定的に回答しています。ついで、「教員のICT活用能力の向上」、「デジタル機器を活用する機会の増加」に70%の高い回答率が得られています。

このように、ICT支援員は、

  • ICT授業における教員の負担軽減
  • ICT活用能力の向上
  • ICT活用機会の増加

に大きく貢献する、学校側からみると頼もしい存在といえるでしょう。

ICT支援員の配置促進に関する調査研究(2001年 文科省:PDF)

ICT支援員になるには? 求人への応募方法は?

ICT支援員になるには、どのような能力が求められるのでしょうか。また、どのようなルートがあるのでしょうか。それぞれ、ご紹介します。

ICT支援員になるには①:求められる対応・能力とは?

ICT支援員になるには、どのような能力が必要なのでしょうか。

求められる能力は、ITに関する知見だけではありません。IT知識と同等、もしくは、それ以上に求められるのが、コミュニケーション能力です。

具体的には、次のような人材が求められています。

  • 教育に関心がある
  • 生徒と喜びを共有できる
  • 忙しい教師を補佐できる
  • 相手の困っていることを察知できる
  • 人前で話すことに抵抗がない

参考までに、多くの支援員が取得する資格のひとつである「ICT支援員認定試験」では、IT知識に関する問題とは別に、「技術的な問題をわかりやすく説明する」というコミュニケーション能力を問う出題があります。この出題からもわかるとおり、教職員や生徒と触れ合う機会の多い職業だといえるでしょう。

支援員になるには②:求人への応募方法は?

求人への応募は、ふたつのルートがあります。

  1. 地方自治体の求人に応募する。
    欠員が出たときなど、自治体の公式ページで求人情報が掲出されます。
  2. 民間の求人情報から応募する。
    民間の求人サイトに掲出されています。

もし求人サイト選びに迷ったときは、「求人 ICT 支援員」というキーワードで検索してみましょう。あるいはICT教育のサービスを提供している民間企業の公式ページでも「採用情報」といったかたちで求人を掲載していることがあります。

ICT支援員になるには? 素朴な疑問

ここからは、ICT支援員になるためのQ&Aをご紹介します。

未経験でもなれる?

ICT支援員は、未経験からでも応募することは可能です。

教育に関心があり、ITスキル・知識がある、人に教えることや説明することが得意といった能力に自信があれば、働きながら知見を身につけることが可能です。

有利な資格試験はある?

ICT支援員なるには、資格は必須ではありません。ただし支援員になった時に身につけておくと有利な資格はあります。次にご紹介する資格は、どれも実務的な試験内容で定評があります。

50代でも支援員になれる?

ICT支援員のなかには40代、50代で活躍している人もいます。

パソコンのインストラクターやITの技術者、あるいは塾講師など、これまでの人生で積み重ねてきたIT系の知識や人に教えたことのある経験を生かして働いています。

常駐? 巡回?

文部科学省による2021年の調査「ICT支援員の配置促進に関する調査研究」によると、ほとんどは「複数の学校を巡回」していることがわかります。

文部科学省では4校に1人の配備を推奨していますが、もっと多くの学校を受け持っている方もいます。

ICT支援員の勤務条件と応募方法

ICT支援員の多くは派遣社員または契約社員の雇用形態が多く、勤務条件の例としては、

  • 雇用形態:派遣社員
  • 給与:時給制
  • 休日:土日祝日、年末年始その他
  • 福利厚生:社会保険、他
  • 勤務地:自宅から通える範囲の複数校

このような条件の求人が多いです。求人サイトなどで探すと見つけやすいでしょう。

まとめ

  • ICT支援員とは?:
    学校で、デジタル端末や機器を使った授業を行う際に、実務的なフォローやアドバイスをする人材。
  • 支援員の業務とは?:
    • 授業支援
    • 校務支援
    • 校内研修支援
    • 環境整備支援
  • ICT支援員になるために必要なスキルは?:
    ITに関する興味・知識とコミュニケーション能力。
  • ICT支援員の求人への応募方法は?:
    • 地方自治体の求人に応募する。
    • 民間の求人情報へ応募する。

以上、ICT支援員の業務内容と、支援員になるための方法をご紹介しました。

【ICT支援員 採用情報】

KDCでは、学校内のICT支援を幅広く行う「ICT支援員」(契約社員)を募集しています。

経験者はもちろん、これからICT支援員を目指す方も歓迎。
入社後10日間の座学研修、1カ月間のOJT研修を用意していますので安心してご応募ください。

熱意のある方は、正社員の道もお選びいただけます。詳しくは、ICT支援員のページまで。

 

参照元:

  • 「ICT 支援員の配置促進に関する調査研究」 アンケート調査及びクイックヒアリング結果(文科省:PDF)