「協働的な学び」とは?
「個別最適な学び」と一緒にわかりやすく解説。

「協働的(きょうどうてき)な学び」は、2019年に改訂された学習指導要領に盛り込まれているキーワードです。
「協働的な学び」とはICT端末を活用して、クラスメイトに限らず、異なる学年の生徒や地域の人々など、さまざまな人々と協力しながら、主体的に問題解決していく教育の取り組みであり、令和時代の新しい学び方として、「個別最適な学び」とともに欠かせないキーワードになっています。
この記事では、「個別最適な学び」と比較したり、事例を盛り込んだりしながら、「協働的な学び」について理解を深めていきます。

「協働的な学び」とは? なぜ必要なのか

タブレットグループ学習

「協働的(きょうどうてき)な学び」は、10年ぶりに改訂された2019年の学習指導要領に盛り込まれたキーワードです。このキーワードの生まれた背景をわかりやすく伝えます。

「協働的な学び」が誕生した背景とは

「協働的(きょうどうてき)な学び」というキーワードは、2019年に改訂された10年ぶりに改訂された学習指導要領に盛り込まれたところから注目を集めました。

ちなみに「協働(きょうどう)学習」という言葉そのものは、辞書にも載っています。デジタル大辞泉によると、「学習者が相互に協力しながら、共通の目標や課題の達成を目指す学習」という意味になります。

「協働的(きょうどうてき)な学び」は、GIGAスクール構想が提唱する、いわゆる「1人1台端末」の活用と密接な関係があります。新しい学習指導要領が目指す「協働的な学び」とは、「ICT端末を活用して、同じ学年、同じクラスに限らず、異なる学年の生徒や地域の人などと情報を共有しながら、ともに学び、主体性を育む」という学び方で、ICT端末が必要不可欠となっているからです。 「協働的(きょうどうてき)な学び」は、新しい時代に求められる、いわば「令和型の学び」の1つといえるでしょう。

協働的な学び・個別最適な学びの役割をわかりやすく解説

ここからは、「協働的な学び」と対で語られることの多い「個別最適な学び」との関係性をわかりやすく解説します。

「協働的な学び」と「個別最適な学び」の違いは?

「協働的な学び」とともに、「個別最適な学び」も、新学習指導要領で提唱されている令和時代の学習スタイルです。どちらも、「主体的・対話的な深い学び」(Active learning:アクティブラーニング)という概念を、実現するための手法です。

「協働的な学び」と「個別最適な学び」は、どちらか一方ということではなく、両輪のようにともに進めることが推奨されています。

個別最適な学び:指導の個別化と指導の個性化

「個別最適な学び」とは、すべての生徒に基礎学力を習得させるために、子ども一人ひとりにあった柔軟な指導を行うことです。学習の個性化とは、生徒個々の興味や関心を持つものに対して、学習の機会を提供し、学びを深めることを意味します。

協働的な学び:一人ひとりの個性・資質を生かし、他者と協働する

生徒一人ひとりの異なる考え方を生徒同士、または地域の人々や専門家など多様な人々と協働して、より良い学びにつなげることです。

協働的な学び・個別最適な学びの理想的な連携とは?

「個別最適な学び」と「協働的な学び」がより良く連携することで、主体的・対話的な深い学びが相乗効果を発揮します。
個別最適な学びと協働的な学びの理想的な連携は、

  • 個別具体的な学びで知識や技能の習得、調べ学習などで思考を深める
  • 他の生徒との話し合いや協働での資料作成やグループでの発表、振り返り

この2つを繰り返すことです。

自身の知識や考えをインプットしながら、ほかの生徒にその考えを発信することでアウトプットを行い、インプットとアウトプット学習を繰り返すことによって、新たな気づきを得る循環が起こります。この繰り返しが、知識を深い学びへといざないます。

ICTを使った「協働的な学び」「個別最適な学び」のための授業デザイン

ここからは、ICT端末を使った「協働的な学び」「個別最適な学び」の授業デザインについて解説します。

ICT端末で自主的に調べる習慣をつけさせる

「協働的な学び」と「個別最適な学び」の実現に、生徒1人に対して1台のICT端末は欠かせません。ICT端末は、生徒が自ら学び、考えるためのツールとして活用できるからです。

たとえば、生徒がわからない事柄があった場合、これまでは教師が対応していたのではないでしょうか? ICT端末があれば、生徒自身でインターネットを使って調べることができます。わからないことについて自主的に調べる習慣をつけさせることは、教師として学びの機会の指導になることでしょう。

ICT端末を活用した授業では、これまで教師が30分かけて教えていた事柄も、生徒は、数分で情報に到達することが可能です。こういった状況では、教師は、その到達した情報に基づいて、さらに新しい問いを生み出し、授業の内容を深めるといった授業デザインを設計することもできます。加えて、情報の収集方法や正しい情報の取捨選択のやり方など、情報リテラシーについて指導することも必要となるでしょう。

ICT端末で考えを視覚化する

「協働的な学び」を実現するにあたり、自分以外の他者に生徒個人の考えを伝えたり、他者の意見を共有したりするとき、ICT端末が大いに役立ちます。ソフトを使えば、生徒の考えを簡単に可視化することができます。これまで文字情報が中心だった学びが、図表やイラスト、動画や音声など、さまざまな方法で表現できるようになります。伝えわりやすくなります。

文部科学省では、近い将来には「文房具のようにICT端末を活用する」ことを推奨しています。

「協働的な学び」のICT活用例

ここからは、「協働する学び」のICT活用例をご紹介します。

協働するときの意見整理

ICT端末を使って自分の意見や考えをまとめた資料を作り、グループで共有しながら説明します。
その資料にもとづいて、他者と議論を進めていきます。

協働制作・発表

プレゼンテーションソフトを使い、写真や動画などを使って資料を分担して作成します。クラウドや仮想デスクトップなどの機能を使うと、オンライン上で協働作業を行うことができます。複数の仲間で、1つの資料を作り上げることができるのです。

オンライン会議システムを使えば、仲間と作った1つの資料を、遠隔にいる生徒同士が複数で発表することもできます。遠隔教育は、お互いの学校の生徒にとって、多様な意見に触れられる機会です。自分たちのコミュニティ以外の子どもたちと交流することで、社会性を養うことが期待できるでしょう。

「協働的な学び」と「個別最適の実現」に必要不可欠なものとは?

最後に、「協働的な学び」と「個別最適な学び」の実現に必要不可欠なポイントを紹介しましょう。

情報リテラシーの向上

ICT端末やオンライン会議システムなど、さまざまなICT端末を活用するようになるにつれて、情報の取り扱いについての基本的なルール、情報リテラシーについて踏まえておく必要があります。

情報リテラシー教育とは、「情報の真偽を判断」し、「適切に」、「安全に」活用する能力を育む教育です。簡単に言えば、「情報を適切に使いこなすための教育」といえます。この記事では、教育の現場における情報リテラシーと、情報リテラシーを向上させる授業のヒントもご紹介します。

教員の業務負担の軽減

「協働的な学び」をすすめるにあたり、ICT端末やICT機器の使用が増えると、必然的に教師の負担も増えます。
働き方改革が社会問題になるほど多忙な教師にこれ以上の負荷をかけないようにするためにも、教員をサポートできる体制づくりが必要です。

ICT端末や機器を使用した授業を支援するICT支援員については、文部科学省が2022年までに4校にあたり1人の割合で配置を推奨していますが、実態としては、人員の確保が難しい状況が続いています。

まとめ

  • 「協働的な学び」とは? なぜ必要なのか:
    ICT端末を活用して、同じ学年、同じクラスに限らず、異なる学年の生徒や地域の人などと情報を共有することで、ともに学び、主体性を育むから。
  • 「協働的な学び」と「個別最適な学び」の違い:
    「協働的な学び」は他者と意見や考えを交わし、思考を深めること。「個別最適な学び」は個人の個性に合わせて学びを深めること。
  • 協働的な学びと個別最適の実現に必要不可欠なものとは?:
    情報リテラシー教育と教師の業務負担の軽減。

以上、協働的な学びについて解説しました。

日常のICT業務は多岐にわたります。ですから、教員だけで協働的な学びを実現するには、時間的にも人的にもリソースが厳しい状況です。

そのような人的リソースの不足は、民間事業者のヘルプデスクを利用することで補うこともできます。
ヘルプデスクであれば、メールや電話で問い合わせに対応してくれます。ちょっとした疑問も気軽に尋ねることができます。日常のICT業務は多岐にわたるため、ICT支援員とヘルプデスクを併用する学校も少なくありません。

ヘルプデスクは、対面ではなく、メールや電話が基本となりますが、多岐にわたるICT業務について気軽に問い合わせできるのがメリットです。
KDCのヘルプデスクには、ICT支援員やシステムエンジニアなどプロフェッショナルが常勤しており、端末のトラブル対応からアプリの基本操作まで幅広く支援します。
たとえば、

  • ログインできない
  • 電源がつかない
  • アプリの操作がわからない

という、ちょっとしたお困りごとから、

  • 全校生徒分のアプリをインストールしたい
  • OSの最新バージョンを全校一斉にアップデートしたい
  • 起動しないアプリを点検して、再インストールしたい

といった教育の現場で大量に発生する業務にも対応しています。

KDCは「電話がつながるヘルプデスク」として、電話応答率が90%以上、簡単なお問い合わせであれば数分で解決へ導いてきた実績があります。
メールからのお問い合わせにも、受付時間内であれば、平均1時間以内というスピード感で応答します。

ICTのお困りごとは、ぜひ、KDCのヘルプデスクにご相談ください。

参照元

  • 児童生徒の協働的な学びにおけるICT活用(独立行政法人教職員支援機構:PDF)
  • 東洋経済オンライン(Webページ)