情報リテラシー教育とは?
生徒の情報リテラシーが向上するヒント5選。
学校教育における情報リテラシーとは、「情報の真偽を判断する能力」、「情報を適切に活用する能力」、「情報を安全に活用する能力」を育む教育です。簡単に言えば、「情報を適切に使いこなすための教育」といえます。
2020年を越えたあたりから、情報化社会をはるかにしのぐ「情報爆発社会」という言葉を耳にするようになりました。総務省の調査を見ると、インターネット全体のデジタルデータ量が、2000年を10とすると、2020年の時点では6000倍に拡大していることがわかります。まさに「爆発」という表現にふさわしい急増ぶりです。
日々、膨張を続けるデジタルデータは教育の現場でも活用が始まっています。タブレットなどを活用したICT教育では、ICT端末を活用した授業とともに、情報の取り扱いについて学ぶリテラシー教育も急務となっています。
この記事では、教育の現場における情報リテラシーについておさらいするとともに、情報リテラシーを向上させる授業のヒント5選を紹介します。
教育の現場における情報リテラシーとは?
教育の現場における情報リテラシーのポイントについて、おさらいしていきましょう。
情報リテラシー教育の概要
2020年度から始まった新しい学習指導要綱では、ICT端末の操作方法から、情報の受け取り方から情報発信の方法にいたるまで「学ぶ」ことが推奨されています。 一般的に情報リテラシー教育で学ぶ内容は次のように多岐にわたります。
- 情報モラル
- メディアに対する自己コントロール力
- 情報をうのみにせず主体的、批判的に受け取る能力(クリティカルシンキング)
- 情報機器を操作活用する能力
- 情報発信する能力
- インターネット操作、活用する能力
学校教育の現場における情報リテラシーのポイント
学校教育の現場における情報リテラシーのポイントは、次の3点です。
- 「情報の真偽を判断する能力」
→ フェイクニュース、違法・有害サイトを見極める - 「情報を適切に活用する能力」
→ SNSやECサイトを適切に活用する - 「情報を安全に活用する能力」
→ ネット上のプライバシーを守り、個人情報を正しく取り扱う
言い換えると、情報リテラシー教育とは「情報を探す」、「インプットする」、「アウトプットする」という一連の流れについて見識を身につけるということになります。
情報爆発社会においては、インターネットに限らず、新聞やテレビなどの大手メディアも含めて、発信される情報は、額面通りに受け取るのではなく、自分で考えたり、確認したりしながら見極めることが必要となってきています。その素養を身につけるのが、情報リテラシー教育ということになります。
SNS世代に必要な情報リテラシー教育とは?
物心ついたときからデジタル端末が身の回りにあったデジタルネイティブ世代のなかでも、現在の10代は、とくに「ソーシャルネイティブ世代」と言われることがあります。ここからは、SNS全盛の世代のITリテラシーについて解説します。
SNS世代の特徴とは?
いまの10代は、ソーシャルメディアが身近にあって、使いこなしてきた「SNS世代」、または「ソーシャルネイティブ世代」と呼ばれています。
この世代は、情報端末を直感で操作し、オンラインゲームやSNSを通してコミュニケーションを取ることが生活の一部になっています。一方、そうしたオンライン上のトラブルにも巻き込まれることも少なくありません。
SNS世代に求められる情報リテラシー教育
SNS世代に求められる情報リテラシーとは、次のようなポイントです。
- 著作権、肖像権に関する意識
- 情報の真偽
- モラルに欠けた情報発信
「他者が作った作品には著作権や肖像権が発生する」ことに対する理解が足りない傾向にあります。オンライン上で簡単にコピーペーストができるため、他者作品のコピーペースト、無断アップロード(ファストムービー)など、盗作、盗用に関する問題が後を絶ちません。
そうした違法行為を行うだけでなく、違法サイトにアクセスするだけでも、不当な金額を請求されたり、個人情報を盗まれたりするなど、ネット上のトラブルのリスクが高まります。
また、SNSを使う上では、玉石混交のSNS情報の真偽を確かめないまま拡散したり、いじめや炎上につながるモラルに欠けた情報発信をしたりという問題も頻繁に起こっています。
情報リテラシーを向上させる授業のヒント5選情報リテラシーを向上させる授業のヒント5選
ここからは、生徒を中心に、教師や保護者も含めて、情報リテラシーを向上させるための授業のヒントや教材をご紹介します。
①一次情報をたどる方法を学ぶ
アクセスした情報が、本当に一次情報なのか、どこかの転載記事なのか、あるいは無断のコピーペーストによる産物なのか、その情報の真偽を確かめる方法を学びます。
また、インターネット上に出回っている情報には、取材に基づいた事実と個人の意見、その両方が含まれている点にも注意が必要です。情報に接したときに「事実」と「意見」をカテゴライズする習慣を学ぶことで、情報に踊らされることが減ります。
②情報リテラシーを高めるためにセキュリティに関する意識を高める
情報リテラシー教育には、セキュリティについての意識を高めることが欠かせません。
文部科学省では、小学校高学年から中学生向けに、セキュリティの意識を高めることを目的としたデジタルチラシを配布しています。
パスワードに対する考え方や、インターネットまの特性について、難しい感じにはルビを振って、児童・生徒が読むための配慮を施しています。
「インターネットにつなぐとき 守ってほしい、大切なこと」(文科省:PDF)
③LINEの情報リテラシー教育授業を活用する
情報リテラシー教育に企業として取り組んでいるのが、日本で、もっともメジャーなコミュニケーションアプリを提供するLINE株式会社です。LINEのサービスが登場したのは、2011年。10代のスマホ利用が増えてきたのも、その時期からでした。
当初LINEでは、10代ユーザーの増加につれて急増したトラブル対応を経て、保護者や教育機関向けにITリテラシーに関する講演を行ってきました。その講演の好評を受け、社内に専門部門を立ちあげて、児童・生徒に向けた本格的な情報リテラシー教育に取り組むようになったのです。
LINE社の授業では情報モラルに焦点を当て、悪口や写真、ゲームなどにはまって課金することのリスクといった身近な素材で児童生徒に指導しています。
④総務省が提供する安心・安全なインターネット利用ガイド
総務省が提供するWebサイト「安心・安全なインターネット利用ガイド」では、未就学児・未就学児童の保護者・職員など、対象者別に「インターネットトラブル事例集」を紹介しています。
具体的な事例とその対応法が紹介されており、授業で使えるような動画コンテンツも充実しています。
「上手にネットと付き合おう!安心・安全なインターネット利用ガイド」(総務省:Webページ)
「インターネットトラブル事例集ダウンロードページ」(総務省:Webページ)
⑤総務省が提供する情報通信白書 for Kids
小学生高学年以上を対象に、子どもたちの情報通信の理解を深めることのできるサイトです。
インターネットの仕組みから、インターネットの安全な利用方法まで、イラストを多用して展開しています。
まとめ
- 情報リテラシーとは:
情報を適切に使いこなすための教育 - 学校教育の現場における
情報リテラシーのポイント:- フェイクニュース、違法・有害サイトを見極める
- SNSやECサイトを適切に活用する
- ネット上のプライバシーを守り、個人情報を正しく取り扱う
- SNS世代に求められる
情報リテラシーのポイント:- 著作権、肖像権に関する意識
- 情報の真偽
- モラルに欠けた情報発信
以上、「情報を適切に使いこなすための教育」、情報リテラシー教育について紹介しました。
情報リテラシー教育の必要性は実感していても、情報リテラシーという新しいプロジェクトを実現させるためには、それなりの工数と労力が必要となることでしょう。
その時間を確保するために、もし日常的なICT関連の運用が足かせになっている場合は、教育ICT専用のヘルプデスクを設置するという方法もあります。
ヘルプデスクは、対面ではなく、メールや電話が基本となりますが、多岐にわたるICT業務について気軽に問い合わせできるのがメリットです。
KDCのヘルプデスクには、ICT支援員やシステムエンジニアなどプロフェッショナルが常勤しており、端末のトラブル対応からアプリの基本操作まで幅広く支援します。
たとえば、
- ログインできない
- 電源がつかない
- アプリの操作がわからない
という、ちょっとしたお困りごとから、
- 全校生徒分のアプリをインストールしたい
- OSの最新バージョンを全校一斉にアップデートしたい
- 起動しないアプリを点検して、再インストールしたい
といった教育の現場で大量に発生する業務にも対応しています。
KDCは「電話がつながるヘルプデスク」として、電話応答率が90%以上、簡単なお問い合わせであれば数分で解決へ導いてきた実績があります。
メールからのお問い合わせにも、受付時間内であれば、平均1時間以内というスピード感で応答します。
ICTのお困りごとは、ぜひ、KDCのヘルプデスクにご相談ください。
参照元
- ICTメディアリテラシーの育成(総務省:Webページ)
- 「令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト実施大綱の予告(補遺)」について(通知)(文科省:PDF)
- OECD 国際成人力調査(文科省:PDF)