学校におけるMDMとは?
教育の現場に導入するメリットは?
MDM(エムディーエム:Mobile Device Management)とは、複数のICT端末を一元管理できるシステムです。遠隔からの操作も可能で、企業や学校が配布したスマホやタブレットの一括設定やセキュリティ対策に活用されています。
MDMは、GIGAスクール構想によって、全国の児童・生徒に1人1台の端末が行き渡った2022年現在、教育の現場では利便性の高い運用方法として注目されています。
この記事ではMDMの概要から、学校にMDMを導入する場合のメリットまでをご紹介します。
MDMとは?
最初に、MDMを導入することで得られる基本的なメリットについてご紹介します。
MDMの代表的なメリット
MDMとは、「Mobile Device Management」の頭文字をとった造語で、「エムディーエム」と呼ばれています。直訳すると「モバイルデバイス管理」となり、企業が社員に貸与する業務用スマホやタブレット、そして学校が配布したICT端末を統合的に管理するシステムを意味しています。 MDMの代表的なメリットは、次の4点です。
- 端末を一元的に管理できる
- 紛失や盗難時の遠隔操作ができる
- セキュリティ対策ができる
- 細かなアクセスを制御できる
MDMが求められる背景
MDMが注目されている背景には、リモート環境の急増があります。2020年3月からのコロナ禍をきっかけにオンラインによるビジネスや学びの機会が急増、企業や学校は、端末を一括管理する必要に迫られました。
言リモートワークやオンライン授業で活躍するモバイル端末は、便利な反面、紛失や盗難による情報漏えいの危険性があります。不適切なアプリのインストールによるウイルス感染など、重大なクライシスの可能性もはらんでいます。このようなセキュリティリスクに有効な施策として、MDMが求められるようになったのです。
学校が配布したICT端末には、学習履歴や児童・生徒の個人情報が含まれており、文部科学省では、こうした情報を「資産」としてとらえています。MDMは、こうした「情報資産」を守る仕組みといえるでしょう。
学校でよく使えるMDMの機能
MDMには、多くの機能があります。ここからは、とくに学校での利用が多く、セキュリティ対策にもつながる「一括管理」と「遠隔操作」機能についてご紹介しましょう。
一括管理で、大量のICT端末を安全に管理
MDMは、何百台、何千台という規模の端末について、OSやアプリのアップデート、アクセス制御などの各種設定を一括で行うことができます。 一括管理機能では、授業で使うアプリを一斉配信する一方、不適切なアプリを利用できないようなコントロールもできます。
また、データを可視化することも得意で、ログデータから生徒の利用状況を把握できます。端末にセキュリティポリシーに違反する利用があった場合は、管理元が瞬時に感知し、アカウント乗っ取りなど不正利用のセキュリティトラブルを未然に防ぐこともできます。
遠隔操作で、盗難、紛失などによる情報漏えいを防止
MDMには、端末が盗難、紛失されたときに遠隔でロックできる機能もあります。
盗難や紛失で端末の所在がわからない場合でも、管理者が遠隔操作により端末にロックをかけることができます。また、通信圏内であればリモートワイプという機能を使って端末内のデータを消去することもできます。そのほか位置情報が確認できる機能や、端末の画面に電話番号やメッセージなどを表示させる機能もあります。
学校にMDMを導入するメリット
MDMを学校に導入することで得られるメリットは、「GIGAスクール構想の運用支援」と、「教師の負担軽減」があります。ここから、それぞれのメリットを掘り下げていきましょう。
GIGAスクールの運用を支援する
MDMは、児童や生徒の個性を育み、主体的な学びを促すGIGAスクール構想の実現に貢献しています。GIGAスクール構想は、全国の児童・生徒に1人1台の端末を行き渡らせる文部科学省の提言。2021年5月に文部科学省が発表した「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」によると、GIGAスクール構想の運用にはMDMの導入が、前提となっています。
MDMの導入で、安心安全な学習環境が整い、GIGAスクール構想の実現が促されるのです。
MDMはここからは児童や生徒にとってのMDMのメリットを、より具体的に見ていきましょう。
MDM導入のメリット: アクセス制御によるセキュリティ強化
MDMは、柔軟で細かなアクセス制御ができます。たとえば、有害サイトへのアクセス制御や、学習に不適切なアプリの制御、ブラウザで禁止されているサイトのURLの登録や、許可サイトのみを閲覧する運用など、必要に応じた設定を行いセキュリティを強化することができます。
また、自宅で学校以外のネットワークに接続する場合は、プロファイルやフィルタリングの設定を行うことで、学校と同じ環境でタブレットを利用できます。
MDM導入のメリット:アクセス制御によるポリシーの設定
MDMは、アクセス制御機能を使って、学年やクラスごとに独自のポリシーを設定することもできます。
進級して学習内容が変わるのに伴い、端末の活用方法も変わります。ですから、端末の設定も学年によってアップデートする必要があります。MDMであれば、学年ごとにアクセスできるブラウザの制限を変更したり、YouTubeなどWebサイトの閲覧権限を管理したりできます。
そのほか、時間帯でポリシーを変更することも可能です。就学時間が終わったらネットを閲覧できるように設定すれば、1つのタブレットでも教室では授業に集中し、放課後は調べものに活用するといった使い方もできます。
教員の負担を軽減する
MDMの、もうひとつの大きなメリットは、一括管理ができることによる教員の負担の軽減です。
さまざまな校務に忙殺されている情報担当の教師が、学校によっては何百台、場合によっては何千台という膨大な端末を管理することは、物理的に不可能です。MDMを導入すれば、初期設定やアプリのインストールなど、1台ごとに行う必要がなくなります。
さらにMDMの設定そのものをICT支援員に依頼すれば、膨大な繰り返し作業が発生する年次更新も効率的に進めることができます。
まとめ
- MDM(エムディーエム)とは:
複数のICT端末を一元管理できるシステム - 学校で使えるMDMの機能:
・一括管理で、大量のICT端末を安全に管理
・遠隔操作で、盗難、紛失などによる情報漏えいを防止 - 学校にMDMを導入することで得られるメリット:
・GIGAスクールの運用を支援する
・教員の負担を軽減する
以上、学校におけるMDMについてご紹介しました。
MDMは、ICT端末の一括管理や遠隔操作を行います。
初期設定やインストール、更新を一括で処理できるので年次更新のように一度に大量の端末の設定を変更しなければならない際には活躍します。また、遠隔操作ができるため、盗難や紛失時も遠隔でセキュリティ強化の対策を行うことができます。
なんといっても、端末の一括管理は、情報教育の担当教員の負担を減らすことにつながります。
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参照元
- 「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」 ハンドブック (令和4年3月、文科省:PDF)